相続放棄と過払い金
借金の過払い金と相続放棄の関係
相続放棄の相談で多いのは「故人が消費者金融などから莫大な借金をしていたことがわかったため、相続放棄をしたい」という相談です。
中には「相続放棄は無責任だから、相続放棄をせずに返そう」と考える方もいるかもしれません。借金が少なければ相続放棄をしなくてもという方でもやはり相続放棄を検討すべきでしょう。
しかし、相続放棄を決断する前に確かめておくべきことがあります。
それは「過払い金」の有無です
借金の過払い金は、たとえ本人が亡くなっていても返還請求の手続きを行えば取り戻すことができます。
しかし、もし相続放棄を行えば、この過払い金を請求する権利も手放すことになってしまうのです。
そのため、借金がある場合に相続放棄するか相続放棄しないかを決める前には、まず過払い金の有無を調べる必要があります。
実際に相続放棄すべきか否かの判断
相続放棄すべき場合と、相続放棄すべきでない場合について考えてみましょう。
説明を単純にするため「問題の借金以外に相続するものが無い」ということを前提にします。
まず、問題の借金に過払い金が無かった場合は相続放棄すべきです。
もし過払い金があったとしても、残りの借金より少ないなら、やはり相続放棄すべきでしょう。
どちらの場合でも、相続放棄をしなければ借金を引き継ぐだけですから、相続放棄をした方が良いわけです。
一方、相続放棄しない方が良いのは、残りの借金よりも過払い金の額の方が多い場合です。
この場合は相続放棄して、過払い金の請求権を手放すのは損です。
極端な説明にはなりますが、相続放棄すべき場合と相続放棄すべきでない場合とは、このように判断・区別できます。
借金の返済を求められない場合は注意
相続放棄をしてから、借金の完済に気付くこともあります。本来は返済完了から10年以内なら請求できるのですが、相続放棄をしてしまえば請求できません。
また、業者がすぐに借金の返済を求めてこない場合がありますが、これは「相続した人間が司法書士などに相続放棄の相談をし、過払い金のことを知ってしまう」という心配があるためです。
多くの場合は相続放棄の相談で過払い金について知ることになるでしょうから、「黙っていれば相手が専門家に相続放棄の相談をすることを考えないだろう」というのはなかなか良い判断と言えます。
したがって、この場合はほぼ確実に多額の過払い金があると考えられますから、すぐに相続放棄することを考えず、しっかりと過払い金について調べ、時間をかけて相続放棄すべきか相続放棄すべきでないかを判断した方が良いでしょう。
相続放棄を決める前には専門家に相談を
このように、借金がある場合にすぐ相続放棄を決めてしまうのは危険です。
相続放棄について誰かに相談することは恥ずかしいことではありません。
一人で解決しようとして相談せずに行動し、悪い結果を招いてしまうよりは、まず誰かに相談してみた方が良いでしょう。相談することで、自分の中でも問題点が整理できます。
ただ、やはり相続放棄ということはデリケートな問題であり、同時に専門的な問題でもありますから、できれば専門家に相談した方が良いでしょう。
特に相続放棄が専門、相続放棄に強いとアピールしている専門家に相談すれば、より的確な助言がもらえます。
多くの事務所では相続放棄に関する相談は無料になっていますから、まず相談してみて、その専門家の相続放棄に関する経験や実績を確かめてみる、という手もあります。
相談の結果、納得いかなければ相談だけでやめれば良いわけです。
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