空き家・廃屋と相続放棄

相続人全員が相続放棄したことで、被相続人が所有していた不動産が、空き家や廃屋の状態になってしまうケースがあります。

この空き家や廃屋が、放火や不審者による占拠や、倒壊するリスクもはらみ、地域住民の安全を脅かす存在になりかねず、現在、全国の自治体でもこれらの危険廃屋は大きな問題になっております。

この空き家や廃屋については、相続放棄の手続きをすれば責任は問われないと考えている方もいらっしゃいますが、相続放棄をしたとしても管理義務を負う場合がありますので、注意が必要です。

2023年4月1日施行の改正民法により、以下のように定められております。

「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九五二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」

相続放棄時に現に占有している財産がある場合は、管理義務を負うことになります。
逆に言うと、相続人が実際に占有していない相続財産については、管理義務の対象外となります。
例えば、実家等の不動産が相続財産の場合、離れて暮らす相続人が相続放棄をした場合、その不動産を管理する義務はありません。

なお、この規定は、施行日後(2023年4月1日)に相続放棄をした場合に適用されます。

管理義務を負ってしまうことになる相続放棄した方については、法的責任を回避する方法として裁判所に相続財産管理人(一般的には地域の弁護士が選任されます)の選任を申し立てる方法があります。

当事務所では、相続財産管理人の選任申し立て業務を行っておりますので、お気軽にご相談ください。


公開日:
最終更新日:2023年6月2日

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